パナマハットができるまでの道のりは果てしなく、かつ過酷です。日本からエクアドルまでは、飛行機で約24時間。空港からパナマハットの原料であるトキア草が生えている場所までは車で約4時間、そこからロバや馬を連れ1時間ほど歩くと、エクアドル西岸のジャングルの奥地に到着します。その地域の天候や海からの風がもたらす絶妙な湿度と気温が、トキア草の栽培を可能にしています。栽培地に着くと、ナイフでトキア草を一定の長さに切り揃え、調理場まで運ばれます。

 

切って長さを揃えたトキア草を束にしてお湯で1時間程度茹でます。茹でることで、トキア草をやわらかくし、脱色します。トキア草の栽培時期や天候により茹でる時間が異なるため、職人の経験と勘を頼りに作業を行います。この過程で、特別な薬品などを使用しないため、周囲には自然の香りが充満しています。乾かす際には、トキア草の柔らかさを保つため、適度の湿気を保つため、屋根の下で干すのが主流になってます。

乾いたトキア草は1本1本綺麗に分けられ、パナマ帽子を編むのに最適な長さに調整されます。仕上がったトキア草は写真のように、細くしなやかになります。この写真は、モンテクリスティ・パナマ帽子を作るときに使用される長さであり、高品質なパナマ帽子の原材料となります。仕上がったトキア草は編み手が住む地域へ1か月に1度トラックで運ばれます。地域や家族のつながりがあり、芸術的なパナマ帽子が作られるのです。